睡眠と脳科学の時代
(尚、生地と画像の書籍とは関係ありません。 )
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脳の働きの解明は未だ途上にあるのだろうが、この頃メディアに乗ってきた情報が幾つかある。それらは断片的だが、いずれは本質が明らかにされ、一つの明快なメカニズムの働きとして理解することが出来るようになるだろう。
睡眠負債の話がNHKはじめ幾つかのメディアで取り上げられている。
(順不同)
- 鬱病患者は不眠症。原因と結果の関係は分からない。
- 脳内老廃物(アミロイドベータ)が認知症とかアルツハイマーの患者に特徴的。
- アミロイドベータは健常者も脳内老廃物として生成される。
- 問題は生成されたアミロイドベータを脳の外に排出するメカニズム。睡眠と関係するらしい。脳から外に出すには血液、リンパ液、神経系ぐらいだが、誰か(将来のノーベル賞候補?)が発見したのは血管の周りの隙間を伝ってアミロイドベータが回収されていく様子。
- 脳内血管は興奮状態では太くなっているが、睡眠状態では細くなって隙間が生じると。
- 不眠症の人はアミロイドベータの回収が上手くできないから脳に蓄積され、固着する。固着すると脳を傷つける。脳の損傷。アルツハイマーになる。飛躍はあろうが大方の理解は十分だろう。
- なぜ不眠になるか。
- 昼は交感神経が支配的で活発に活動できるようになっている。脳(多分大脳だろう)は大仕事をする一方で、脳内は多くのゴミ(アミロイドベータ)が生成される。
- 夜は副交感神経が支配的になり、睡眠活動に入り、ゴミ(アミロイドベータ)が回収される。
- ところが、 夜も交感神経が頑張って、副交感神経が表に出ることが出来ないことがある。交感神経と副交感神経では敵と戦う・敵から逃げる緊急時は交感神経が優先する。
- ストレスホルモン。交感神経を一気に活性化させるホルモン。現代人は動物の天敵はいなくなったが人間が天敵になった。質の悪い天敵だ。日常的にストレスを受け続けている。
- 大脳は記憶のメカニズムの中でストレスを反復させる。大脳は想像力のメカニズム(仮想体験)の中でストレスを反復させることが出来る。大脳は人類の最大の武器の一つだが、思わぬ副作用~ストレスの過剰生成~を生み出した。
- 娯楽であれ仕事であれ夜も刺激を受け続けている。古代人は太陽とともに昼夜を分けて夜は12時間(?)の生活がやがて火を発明して電気を発明して夜は6時間(?)しかない生活になった。交感神経の働く時間が伸びて副交感神経の働く時間が大幅に縮小されていった。睡眠時間も大幅に短縮しているだろう。
- 自律神経失調症。交感神経と副交感神経が規則正しく交互に役割を果たすのが健全な姿だが。そのバランスが壊れる病気。自律神経をつかさどる脳内組織(部位名?)がダメージを受けるのだろう。ストレスホルモンを出させる機能と抑制する機能は恐らく何らかのケミカル(物質名?)でコントロールしているに違いないが、想定以上のケミカルが分泌されると正常状態へのリセットが出来なくなる。伸びきったゴムはゴム組織の異変を招いて元に戻れなくなるように、過剰なケミカルは脳内組織の何処かを物理化学的に損傷させるに違いない。
- 重度な自律神経失調症は損傷した脳内組織を抱えているので、再生させることが出来るかどうかは分からない。大脳を使って意識的に躁鬱をコントロールするしかないが、刺激のない生活が必須となり一般的な社会生活は難しい。睡眠が得られなければ脳内ゴミで徐々に廃人化していくことになる。
- 軽度の自律神経失調症ではまだ残っている健全な細胞が機能して自律神経を維持できる期待があるが、その場合も刺激を緩和する生活を余儀なくされる。社会活動、仕事も注意深く選ぶ必要が有る。刺激のないもの。睡眠障害のないもの。適切に管理されたストレスコントロールの訓練も重要だ。コンサルまたはカウンセラーの経験と資質が求められる。
- 睡眠をとらないと脳はゴミを抱えて自爆する。前記した通りだ。一晩で運び出せるゴミの量には限界がある。週末に寝だめして一気にごみ排出が出来る訳ではなさそうだ。古いゴミは固着して掃きだし難くなることも考えなければいけない。1回徹夜すればその分だけ脳は損傷する。冗談ではなさそうだ。
- 過剰睡眠の問題はまだ分からない。ひとまず8時間を適正睡眠時間としておこう。
- 定期的に寝る必要性は記憶化の問題からも出てくる。睡眠によって物事は記憶される(らしい)。1日分の経験を記憶するには寝るしかない。徹夜や少ない睡眠時間で週末寝だめをする人も不眠症の人も記憶が出来なくなる。状態化すればするほど馬鹿になっていく。知らず知らずのうちに社会性を喪失していく。《あいつには大事なことは頼めない》と言うことになるのは目に見えている。
- 脳記憶のメカニズムはパソコンのストレージ利用の構造や自動倉庫の仕組に似ている。日中、交感神経が支配する中では、素早く情報にアクセスして(記憶を思い出して)、戦いに利用しなければいけない。そのために、夜間(睡眠中)副交感神経が支配する時に、情報はアクセスしやすいように整然とした配列に並び替えを行う。記憶も辿り易いように色々な連関を付けてつなぎ替えられる。自動倉庫の実際は知らないがインデックスだけの整理で済ます場合と入出庫移動時間まで考慮して物理的に再配置を行う場合とがある。脳内でもフラッシュさせて領域を変更させることが行われているかも知れない。
- 適切な睡眠時間が取れていないと質問しても何か話題にしても反応が鈍くなって社会からは信頼を損ねるし、病人扱いを受けることになる。睡眠負債というテーマで最近の睡眠と脳科学に関する発見についてNHKが番組を流していた。まだ掘り下げは不十分だが睡眠と健康問題に対する警鐘としては十分だ。
- 睡眠障害はストレスなど理不尽からもたらされることもあるし、怠惰な生活習慣から来ることもあるが、一度でも一線を超えたら後は同じことだ。早く引き返さないと廃人になる。真面目に頑張っていた人が若年性アルツハイマーになる原因の一つではないか。
- ストレスコントロールと適正睡眠が今まで以上に重要な現代人のキーワードになってきた。
- 犬を飼って毎日散歩して運動を確保し犬とのスキンシップで心の癒しを確保することがライフスタイルとして推奨される理由も理解できる。
- テレ朝で<睡眠と免疫力の関係>が紹介されていたがどういうことだろう。免疫物質は睡眠中に作られるとか。説明に何か矛盾を感じるが、睡眠ホルモン<メラトニン>によって睡眠が維持され(誘発され?)、メラトニンの抗酸化作用によって免疫細胞が(再)活性化される。逆に日中の活動を活性化させるホルモンが<セロトニン>ということだろう。交感神経・副交感神経の対応と同じかな。
- 免疫細胞の活性化作用は癌に対する抵抗力向上に関係する。どの程度かは分からない。また、骨髄の血液製造能力も睡眠と関係があるとか。横になって寝ていないと生産性が下がるとか。これらの生情報は字面だけで具体的なメカニズムは不明。