不安の海峡を渡る死神
「死神」が近くに来ると何をやっても落ち着かない。こんなことをやっている場合ではなかろうと追い掛け回される。
不安の海峡が窓の下に顔を出す。冷たい風が海峡に引きずり込もうとしている。
だれもがこの不安の海峡を渡るのだ。
晴れ。穏やかな波。明るいブルー。無効の陸地もくっきり見える。
闇の海峡。何の音も聞こえない。
嵐。
一つとして同じ海峡はない。時々刻々変わる。必ず闇が来る。闇が明けるのかどうか分からない。
何処まで渡ってこれたのか、あとどれだけなのか、渡りきれるものなのか、不安で周りが埋め尽くされる。
光がもう一度差し込んでくれば其れは救いの光。マリア様の差し伸べる手です。
マリア様は妻の顔をしている。
目が覚める。せめて母親の顔だったら良かったのに。
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