不正防止策を逆手 中古車のメーター巻き戻しに新手口





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不正防止策を逆手 中古車のメーター巻き戻しに新手口

宮崎亮

2014年12月9日17時58分

写真・図版走行距離改ざんの新手口

 中古車の走行距離を少なく見せかけるメーター改ざん。その不正防止策を逆手に取り、車検証上の走行距離を脱法的な手続きで「リセット」する手口が出始めた。大阪府警は業者を摘発するとともに、9日に国土交通省などに対策を求める文書を提出した。

■「やられた!」 16万キロ→5万キロ

 沖縄県の30代の男性会社員は今年2月、ネットオークションで約48万円で落札した軽乗用車を目にして、「やられた」とショックを受けた。あちこちの塗装がはがれ、側面にはこすり傷。走行距離「5万8600キロ」とは信じられない。

 オークション業者間では、扱った車の走行距離を記録している。男性は日本自動車査定協会に手数料1500円を払い、別の業者が約1カ月前に走行距離16万5490キロで売った車だったことを確認した。

 男性は購入元の中古車販売会社「C&C.inc」(大阪市住之江区)に代金の一部返還を求めたが、「車検証は正式なもので改ざんはしておりません」。車検証は本物だった。

 男性は3月、軽自動車の車検証を発行する特別民間法人「軽自動車検査協会」に連絡。情報提供を受けた府警は9月、不正競争防止法違反(誤認惹起(じゃっき))と詐欺容疑でC社の社長(62)を逮捕した。

 府警生活経済課によると、手口はこうだ。

 車検証には直近の車検時の「走行距離」と、その一つ前の車検時の「旧走行距離」の二つが記載される。

 C社はまず、車検切れの車の走行距離を短くするよう特殊な機械で改ざんした疑いがある。16万キロを超えていた走行距離を、メーター上で「5万8600キロ」にした。これは不正行為にあたる疑いがある。

 その車を自動車検査場に持ち込み、「新規検査・登録」する(①)。すると、車検証には、2011年11月の前回車検時の旧走行距離「9万7100キロ」と、現時点の走行距離「5万8600キロ」が記載される。前回より距離が短いと指摘されると「メーターが故障し、交換した」と説明したという。国交省は「メーターの故障、交換は実際にあるので車検証は交付せざるを得ない」と話す。ただ、購入者は走行距離の不自然さに気づくことができる。

 ところが、C社は翌日、車の使用を一時停止するとして車検証を返納した(②)。その翌日、再び「新規検査・登録」の手続きをした(③)。すると、①の車検時の「5万8600キロ」が「旧走行距離」になり、新たな走行距離も5万8600キロになる。もともとあった「9万7100キロ」は車検証上、消える。

 C社は今年2月3日から車検場に3日間通い、①~③の手続きをした。男性は車検証上「5万8600キロ」の記載が二つあるのを不審に思ったが、取材に「そんなことができるとは」と驚いていた。

 C社は同様の手口で3年間で約1800台を売ったとされる。手口については「車検証を見て、自分で考えた」と供述したという。

■大阪府警、国交省に対策求める

 今回の事件は「氷山の一角」とみられている。

 軽自動車検査協会は、ほかにも複数の個人や業者による1629台の同様の事例を確認。国交省もこの1年間に、普通車約200台を売った3業者を警察に情報提供した。

 現状の車検証のシステムは04年から普通車で、09年から軽自動車で導入された。車検証に過去2回分の走行距離を記載することで、以前から横行していたメーターの巻き戻しを防ぐことなどが目的だった。

 大阪府警は9日、国交省と軽自動車検査協会に、メーター交換時の走行距離を車検証に記載するなど、システムの変更を求める文書を送った。国交省と協会も、車検証に過去の走行距離をすべて記載するなど、システムの変更を検討している。(宮崎亮)



不正を行なった業者は逮捕されたのか。最初に知りたいのは正義はなされたかだ。次に、同様の事例の悪質業者も逮捕されたのか。
国交省には以前から問題の指摘があったはずだがどうして今まで、いや今尚放置しているのか。国交腫の当該部局には不作為の罪がある。不適切な管理システムのために不利益を被った消費者にどのように謝罪しどのように弁償するのかも知りたいところだ。

この手口は中古車業界の裏の常識になっているのではないか。過去の車検証を全部調べて名前だけでも公表すべきではないか。それが直ぐに出来る消費者を守る方法だろう。不作為をいつまでも続けていては普通の犯罪者になりかねない。

しかし、自動車検査場も、3日続けて車検証の手続きに来る男に不審を抱かないものか。袖の下を貰っているのではないか。そういう勘繰りをしても当然だろう。

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