パワハラで自殺しないために知っておきたい2つのこと

パワハラで自殺しないために知っておきたい2つのこと

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    2014年12月01日 05:00

経験者だから語れる。パワハラで自殺しないために知っておきたい2つのこと。 - 榊 裕葵

福井市の消防設備会社に勤務していた男性(当時19歳)が自殺したのは上司による暴言などパワハラが原因だったと男性の父親が会社や当時の上司2人に損害賠償を求めた訴訟の判決が11月28日、福井地裁であり、会社と上司1人に計約7260万円の支払いを命じる判決が出た。

私はこの判決を全面的に支持したいと思っている。

■私もパワハラの被害者だった

何を隠そう、私自身もパワハラの被害を受けた経験があり、パワハラの辛さは実感しているからだ。まして今回の被害者は、まだ未成年の19歳の少年であったのだから、その辛さは並大抵のものではなかったであろう。

私は、独立前に勤めていた会社を今でも大好きで、社会人として育ててもらったことを大いに感謝している。だが、1人だけパワハラが酷い上司がいて、その上司に仕えていた間だけは、本当に心をすり減らす日々であった。

物理的な暴力こそなかったが、今回の事例のように、言葉による暴力が酷かった。やはり、言葉の暴力というのはグサリと心に突き刺さるものである。ましてや、それが直属の上司となればなおさらだ。

■「日本人なの?」とさえ言われた

私がその上司の下で働いていた時期、一番心が痛かった出来事は、経営会議で使う資料の確認を受けていたとき、私なりに一生懸命作ったつもりではあったが、資料を見た上司から「あれっ、君は何人だっけ?」「こんな文章書いて本当に日本人なの?」「小学校からやり直したら?」などとまくし立てられたことである。

あのとき馬鹿にしたような口調や視線は今でも忘れられない。

確かに私に至らない部分はあったと思うが、なぜ人格や、あまつさえ国籍まで否定されなければならないのか、というのが正直な気持ちであった。

日常的にも「レベル低すぎ」「成長していない」「新入社員レベルだ」「給料泥棒だね」といった言葉を事あるごとに浴びせられていた。文字で書くと大したことないように見えるかもしれないが、言われ方や、何度も繰り返し言われると、ジワジワ心にダメージが蓄積していくのである。

休憩時間でさえ、「あれだけ僕に言われていながら、そうやって休憩を取っている君はまだまだ余裕があるんだね。」と追い討ちをかけられた。社会保険労務士になった今なら、上司の行為は明らかに労働基準法違反だとわかるのだが、当時は上司に嫌味を言われるのがただただ辛くて、昼食をかきこんで仕事をしたり、本当に疲れていたときはトイレの個室に隠れて休憩したりしていた。

また、失敗をしたときにはその理由と反省の弁を求められ、彼の頭の中にある正解にたどり着くまでは「そうじゃないだろ」と何度も聞き返され、答えられなくなると「あれっ、どうしちゃったの?もしもーし。何か答えて下さい。」というような詰め方もよくされたものだ。

そんな辛い日々を送っていた時期があったが、私は、幸運なことに社内に相談できる先輩がたくさんいたし、「本当に大変だったらうちの部署に来るか?」と声をかけてくださる部門長の方もいたから救われていた。企業内労働組合も親身になって相談に乗ってくれた。

パワハラ上司に屈して逃げ出すのは嫌だったのでその部署で頑張っていたが、本当に辛いときは相談相手がいるということで、心の平静を保つことができたのだと思っている。相談相手がいなければ、私も自殺するかメンタルを病んでいたかもしれない。

■上司の職務権限は怖い

今まで公の場ではあまり表に立って言ってはこなかったが、私が社会保険労務士という資格に興味を持った一端には、そのパワハラ上司から身を守るための武器を持たなければならないという思いがあったのも本音だ。

だが、社会保険労務士の勉強を始めてからは、開き直って、逆に、「なるほど、こうやって職務権限を使って部下を追い詰めるのか」という実例を達観した気持ちで受け止めさせて頂いた。

上司というのは、上手くやれば気に入らない部下を水面下でじわじわと追い詰めることができるのだ。

私が体験した「追い詰め技」を3つほど紹介しよう。

■後出しジャンケンで責める

第1は、「あいまいに権限委譲を行った上で、後出しジャンケン的に部下を責める」という技である。

部下が自分に与えられた権限の範囲だと考えて客先などに直接コンタクトしたときには「なぜ私に断らずに勝手にそのようなメールを打ったのか。」と責め、逆に部下が事前に相談にきたならば「その件は任せたはずなのに、そんなことも私に相談しないとできないのか。」と叱るのである。

たまりかねた部下が「では、私の権限はどの範囲なのですか?」と聞くと、「そんなことも手取り足取り言わなければわからないなんて君は新入社員か。」と、まさに取り付くシマがないのである。このような理不尽に耐えられる部下は少ないであろう。

■残業命令で私生活を壊す

第2は、「理不尽だが違法ではない残業命令」という技である。

数日前から業務を調整し、朝礼のときに定時で帰るということを伝えても、「自分が終わったから帰れると思ったら大間違いだ。○○君の業務を手伝いなさい。」など、帰らせてくれないのである。もちろん、私もチームプレイは大事にしていたが、「この日だけは」という日は誰にでもあるはずだ。「仕事が優先だろ」がその上司の口癖で、彼の下にいたときは、安心して平日の夜に予定を入れることができなかった。

しかし、彼自身が「今日は娘と買い物の約束をしているから」と、定時のチャイムと同時にいそいそと帰り支度していた日には、私も人間なので沸々と怒りがこみ上げてきたものだ。

私怨はさておき、確かに36協定を結んでいるので、会社(および会社から権限を与えられている)上司の残業命令は合法である。権限の濫用が明白な場合などは、裁判をすれば勝てることがあるが、その場、その瞬間で判決が出るわけではないから、よほどのことがない限り、上司の残業命令は覆せないのである。

しかも、私が受けたようなピンポイントで用事がある日に残業をぶつけてくる技は、社労士的に見てもなかなか技術点が高く、過労死のような長時間残業の話ではないから問題が表面化しにくいのだ。

今となっては笑い話かもしれないが、本当にどうしても外せない用事があったときには、正直に話をしても聞き入れてもらえないと思い、上司の目を盗んで逃げ出したことがあった。そのときは私用の携帯電話にまで着信があり、猛烈な勢いでまくし立てられたが、退社してしまえばこちらのものと、罵声に耐えたものだ。

■プレッシャーのかかる業務を命じる

第3は、「業務上のプレッシャーをかける」という技である。

たとえば、「○○支社の△△支社長に、『明日までに』データを出してもらうように依頼しなさい」というように、私から見てかなりの上位職を相手に、無理難題を含む調整を行うよう命じるのだ。

当然のごとく、相手の支社長からは「なぜ、私が一担当者の君から言われなければならないのか。しかも今日の明日で出せるはずがないだろう。ふざけないでくれ。」と怒られ、その結果を上司に報告すると、「君はデータ1つ取り寄せることができないの?情けないね。」と追い討ちをかけられるのである。

そして、上司は支社長に電話をして「先ほどは部下が失礼しました。彼はよく理解していないようでしたが、この件の真意は○○にありまして・・・」と、私には教えなかったような情報を使って相手に説明をするのだ。

その結果、私一人が「無能」のレッテルを貼られ、馬鹿を見るのである。このパターンを私は何度も経験させられた。

上司が自分自身を有能に見せたかったのか、私を陥れたかったのか、真意までは分からないが、もし気に入らない部下を追い詰めようと思ったら、「業務命令に見せかけてプレッシャーかければよい」ということがよく分かった。

■パワハラから身を守るために知っておきたい2つのこと

このような経験も経て、社会保険労務士となった私が、現役のサラリーマンやOLの皆様に、パワハラで追い詰められないためにどうすればよいか、お伝えしたいことが2つある。

■労働基準法を学ぶ

1つ目は、労働基準法を学んでほしいということである。

労働基準法を知っているだけで、少なくとも違法なことは違法だと気付くことができる。

たとえば、私自身の体験談として休憩時間に休憩をとらせないようなプレッシャーをかけられた話を紹介したが、労働基準法第34条第1項には、6時間を超える労働の場合は45分以上、8時間を超える労働の場合は1時間以上の休憩時間を労働者に与えなければならないと明記されている。

事実上、上司の業務命令を跳ね返すことが難しい状況であったとしても、その業務命令は法的に間違っているのだということが分かっているだけでも、心のゆとりは随分と違ってくる。おかしいのは自分ではなく上司だということが分かれば、自分自身を責めなくて済むので、心へのダメージを抑えることができるのだ。

■とにかく、相談をする

2つ目は、相談相手を持つことである。

労働基準法違反ではなくとも、上司は職務権限を使えば合法的に気に入らない部下の心にダメージを与えることができるということは本記事で実例を挙げて説明してきた通りだ。だが、実際問題、それに部下が1人で立ち向かうのは難しい。

だから、誰かに相談することが重要だと思う。社内に信頼できる先輩がいればまずはその方に相談をしてほしいし、社外にも、私のような社会保険労務士、労働局の総合労働相談コーナーなど、相談先は色々ある。抱え込まずに、自分が悪いと思わず、辛いと思ったら、まずは相談してほしい。

上司から「常識」だと言って責められていることが、世間一般の基準や労働基準法に照らし合わせたら、実は「非常識」だった、というケースも多々あるので、追い込まれる前に、第三者に意見を求めることを積極的に行ってほしいのだ。

■結び

冒頭の裁判では、会社側は控訴の構えを見せているようだが、私は、今回の判決が控訴審、上告審でも支持されることを願っている。パワハラを行ったら上司個人も賠償責任を負うのだということが認識されれば、パワハラの抑止力にもなると思っているからだ。

そして、企業も連帯して損害賠償責任が認められているので、今回のような判決が出たことが世間的に認知されれば、企業も本気でパワハラ上司を再教育したり職位を解いたりと、パワハラの撲滅に動くのではないだろうか。

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