生活保護相談窓口に監視カメラを設置する恐怖の松本市!

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生活保護相談窓口に監視カメラを設置する恐怖の松本市!

驚いた。通りがかりの田舎町でニュースを見ていたら、市役所が市民相手に防犯カメラを設置すると言う。危険地域とかなら防犯カメラも犯罪抑止と言うことで歓迎されるだろうが、ニュースの防犯カメラの設置場所は市役所の窓口。しかも、生活保護相談の窓口らしい。

正確に理解している訳では無いが大方の理解は、生活に困った人が恥を忍んで税金で助けてもらおうと言うのが生活保護。色々事情はあるだろうが、自力更生に失敗した人たちへの公的支援策だ。

生活保護を受けるには家族や親せきに頼れない状況が必要だし、贅沢品は持てないことも了解しなければいけない。生活保護の相談に来ること自体、それなりの覚悟が必要。あまり人には見られたくない。ひそひそと担当者と相談するのが普通。

窓口を訪問する人の映像をビデオにとる。相談内容も記録される。プライベート情報の固まりをそっくりビデオに残すのだ。

WHY?

生活保護って生活が出来なくなって必死の状態の人が頼るものだ。自分の命、子供の命、親の命、大事な家族の命も掛かっているのだ。相談窓口に出てくる市役所の職員ののんびりした対応を見せられると誰でも血が頭に上る。普通の窓口でも職員の不適切な対応があるとイライラさせられることがあるが、生活保護の窓口はその何十倍も必死が掛かっている。出来の悪い職員が出ていくと、大きな声を出されたり、恨み言を言われるのは全く普通のことだ。

当てにしていた生活保護が受けられそうにないと分かると逆上する人も出てくる。職員を逆恨みする人も出てくる。ルールで線引きしないで温情が線引きをずらすことがあると、更に職員個人への逆恨みは出てくる。曖昧なルールのまま職員の裁量で線引きさせると、無能な職員は混乱して恨みを買う羽目になる。

これは生活保護サービスを申請してきた顧客の問題ではなくて管理システム(ルール運用と職員の教育訓練)の問題なのだ。

で、件の松本市で事件が起きた。一人の申請者が刃物を持って生活保護の窓口に現れた。職員を脅したのだろう。当然警察に通報されて逮捕されたに違いあるまい。

松本市生活保護相談所に防犯カメラ

出来の悪い職員は相談に来た人に分かるように納得できるように説明する能力も低ければ、問題の原因を理解する能力も低いようだ。恐らく全国に不適切事例として紹介されるだろう。 笑いものになるのは松本市長かも知れない。



松本市の何が問題なのか?(順まったく不同)

  1. 防犯カメラを設置しても通報覚悟で、威嚇あるいは暴力行為に及ぶ人を止めることはできない。
  2. カメラを市民に向けて録画するとプライバシーの侵害になる。事前の合意をとっても弱い立場の人に対する強要になる。人権侵害になる。国連でも問題にされる見込みが極めて大きい。
  3. 既に市民団体がカメラ設置に対して懸念を表明しているので、気付かなかった程度では済まされない。
  4. 常識的に考えれば最寄りの警察署への緊急通報ボタンを設置することで十分。その場合でも威嚇的な表現や設置方法は控えるべきだ。
  5. 防犯カメラを設置することで相談件数が減ることも考えられる。誰でも気軽に相談に来れるようにすべきところを逆の効果を生む、本末転倒と言う奴だ。出来の悪い職員の仕事回避の効果しかない。
  6. 非常事態の訓練が出来ていない。銀行でも不適切な訪問者に対する対応を訓練している。望むものではないが、相談者が精神的に破たんして不適切行為に及ぶ可能を確認したのだから、訓練と非常ボタンと役割設定などは必要だろう。
  7. 相談に来た市民を逆上させてしまう職員を洗い出す努力も必要。性格の悪い人、接客に未熟な人、相性の悪い人、知識と経験の不足する人など把握できていなければ管理者として駄目だろう。防犯カメラではなく、カメラを職員を映すことにして適切な対応をしているかどうか、チェックに使うのは一つのアイデア。勿論、内容が入り込むので相談に来た人の了解は必要。
  8. 職員の資質と訓練と達成した力量を把握すること、資質と訓練の見直しを行うこと。管理者の基本的なことだ。刃物を持った相談者が来たと言うことは、自分たちが十分お役に立てなかったと思ってレビューすべきで、職員側が被害者だと決めつけると正しい改善はできない。
  9. ニュースでは録画ビデオは7日間しか保存しない。後は上書きしますから、個人情報がいつまでの残されるのではないと説明していた。また事件事故などが無ければ閲覧することも無いと。情報セキュリティのことを全く考えていない人は平気で出鱈目を言えるものだと驚く。まず、ビデオが正しく動作していることは誰がどのように確認するのか。録画されていること。上書き消去されていること。再生が必要な時に再生できること。機械は絶対に壊れない訳では無いから壊れた時の対応。メディアも破損あるいは劣化しない訳では無いから破損時・劣化時の対応。バックアップシステムを用意するのか。メディアのバックアップを取るのかどうか。正しく録画されているかどうかは何で判断するのか。
  10. 正しく管理するなら必ず誰かが内容をチェックすることになる。プライバシーは筒抜けになる。やがて相談の様子は流出する。
  11. メディアはカメラに装着したままなのか。抜き取られる心配はないのか。保管庫を用意するのか。
  12. 相談に来た人が威嚇的な発言をしたとしてその証拠ビデオを警察に渡してさっさと逮捕させるつもりでも、怒らせるような対応を取った職員も問題になる。都合のいいところだけ抜き取るのは問題にされる。市民を怒らせる理由は市役所側の対応にあることは少なくない。ビデオを振り回せば市民と市役所が対決する構図になる。失敗行政の典型例だ。
思い付くまま並べても問題だらけ。




https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20181128/KT181127FTI090030000.php

生活保護担当窓口 防犯カメラ 県内18市は設置せず

長野市役所の相談コーナー。ハンディーカメラとICレコーダーは、普段は見えない場所に保管している=27日長野市役所の相談コーナー。ハンディーカメラとICレコーダーは、普段は見えない場所に保管している=27日
 松本市が生活保護課などの窓口に来年1月に設置する防犯カメラが、他の県内18市の生活保護担当窓口には設置されていないことが27日、信濃毎日新聞の取材で分かった。松本市と同様に、来庁者が大声を出すなどのトラブルがあることは認めつつ、カメラ設置については「来庁にためらいを感じる人もいる」「人権上、難しい」として否定的な見解を示している。

 18市の施設管理や生活保護を担当する課に直接取材した。18市のうち、安曇野市は防犯目的で福祉課を含めたフロアを広く撮影するカメラを設置しているものの、同課窓口を直接撮影するカメラはなかった。

 目立つのは「検討したこともない」(塩尻市)との回答。「窓口で大声を出す人もたまにいる。職員が萎縮し恐怖を感じることもある」とした市の担当者もいたが、「カメラがあることでオープンな環境ではなくなり、窓口に来ることにためらいを感じる人もいるかもしれない」とした。「カメラがあることでいい気持ちがしない人もいる」「プライバシーの問題がある」との声もあった。

 長野市生活支援課は防犯カメラは設置していないが、威圧や不当要求があった場合に限り、職員がハンディーカメラとICレコーダーを手に持って撮影、録音する態勢を取っている。

 同課は過去に来庁者とのトラブルで職員が危険を感じるケースがあり、2011年からハンディーカメラなどを窓口から見えない所に置くようにした。撮影前に相手に告知することなどを定めた管理運用基準も設けたが、実際に撮影、録音した例はない。同課は「安心して相談できる環境やプライバシーと、職員の安全を守ることの両方に配慮してこの方法を採用した」としている。

(11月28日)




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