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子供の声は騒音か?


子供の声は騒音か?

こういうことが議論になっているらしい。でも新しい議論でもない。アメリカに行けばコンドミニアムに入っても、ファミリー(子連れ)が入るゾーンとアダルト(大人)だけのゾーンが明確に区分されている。子供がうるさくてシルバーが寛げないからだ。子供がうるさいなど議論以前の事実だ。

行政があるいは保護者が誤魔化しの議論をするからゾーニングという施策が進まない。子供は小声で我慢しなければ行けない。はっきり騒音と認識すれば適切な対応が色々な業界で進む。それが行政でしょう。



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子どもの声は騒音ですか? 絶えぬトラブル、条例改正も

川口敦子

2015年1月26日19時00分



写真・図版園庭に設置された防音壁=東京都練馬区、川村直子撮影



 保育園や遊び場の子どもの声をめぐるトラブルが絶えない。厳しく騒音を規制する条例がトラブル拡大を招いた東京都では、就学前児童の声を規制対象から外す改正案が2月議会で提出される。一方、保育園と住民が話し合いで歩み寄ったケースもある。

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■園庭ではひそひそ声

 「ネズミさんの声だよ」。東京都練馬区の認可保育所「アスク関町北保育園」。保育士が園庭に出る園児に注意した。壁には「ひそひそ話」のネズミから「思い切り」のライオンまで、動物に例えた声量別の絵が貼られている。

 2012年夏、近隣住民が園の運営会社などを相手取り、騒音差し止めと慰謝料を求めて東京地裁に提訴し、現在も係争中だ。園児らの声で平穏な日常生活を送る権利を害されている、と主張している。

 運営会社によると、07年の開園前から近隣住民と協議を重ね、園の周囲に約1千万円かけて高さ約3メートルの防音壁を設けた。130人の園児が園庭を使うのは午前中の2時間弱に限り、歓声が上がりやすいボール遊びは禁止。はやっているのは忍者ごっこだ。スタッフの今井めぐみさん(32)は「ストレスをためないように散歩などをさせている。地域と交流して関係を深めたいが、きっかけがつかめない」と話す。

 待機児童解消のため、認可保育所を毎年増やしている仙台市。12年度は133園、13年度は135園、14年度は141園になった。施設の増加につれて、住宅街では子どもの声に対する苦情も増えているという。

 トラブルが起きる場所は保育園に限らない。川崎市では「こども文化センター」の遊び場での子どもらの声に悩んだ夫妻が、市などに騒音差し止めと慰謝料を求めて提訴。夫妻の自宅の窓を二重サッシにする工事費を市が負担することで13年に和解が成立した。

■基準は「45デシベル」

 トラブルの火に油をそそいでいるのが都の環境確保条例だ。「何人(なんぴと)も規制基準を超える騒音を発生してはならない」とし、数値を定めて規制している。

 「何人も」とある以上、子どもも対象になる。練馬区の認可保育所の訴訟では、都条例が定める住宅地の騒音基準の45デシベルを園児の声が超えていると原告側は指摘する。

 都条例の適用を受ける都内の62区市町村を対象に、都は昨年3~9月、子どもの声のトラブルを調査。42自治体が「苦情が寄せられたことがある」、40自治体が「都条例を改正するか緩和すべきだ」と回答した。

 影響は都外にも及ぶ。神戸市の保育園を相手取り、近所の70代男性が園児の声などによる騒音の慰謝料を求めた訴訟で、原告側は都条例を挙げ、「同じ音が都民は受忍限度を超え、神戸市民は超えない理由はない」と主張している。

 都大気保全課によると、この条例のもとになった公害防止条例は1969年に制定された。当時の東京は急激な都市化で騒音や大気・水質汚染が深刻化していた。快適な生活環境を保つには、車を日常的に使う都民も騒音などを抑える義務があると考え、都は「何人も」と規定した。担当者は「子どもの声も含まれるという議論になるとは想定していなかった」と話す。

 一方、都が13年夏に実施した調査では、政令指定都市20市で子どもの声を騒音規制の対象としている市はなかったという。

 こうした状況を踏まえ、都は昨年12月、「東京都だけが子どもの声も騒音の規制対象になっている現状は好ましくない」として、条例の見直し案を発表。保育園や幼稚園、公園、児童館などで小学校就学前の乳幼児が出す声や楽器音、遊具の音などを規制から外す。子どもと一緒にいる保護者らの音も除く。ただし送迎時の保護者同士の会話や保育園の空調音などは従来通り規制する。

 都が見直し案への意見を公募したところ、今月13日までに約150件が寄せられた。「対象年齢をもっと引き上げては」などという賛成の一方、「受忍限度は人によって様々。引き続き数値で規制すべきだ」といった反対の声も届いた。

 それでも、都道府県でワースト1位の待機児童数を抱える都は、2月の都議会定例会に条例改正案を提出し、住宅地で保育園の建設が難航する現状の改善を目指す。担当者は「改正で訴訟が減り、子どもを育てやすい社会になるはず」と話す。騒音に悩む人にも配慮し、子どもの声が受忍限度を超える場合は勧告や命令の対象とする規定も盛り込む。

■住民と対話、歩み寄りも

 住民と園が協議を重ね、理解を深めたケースもある。東京都世田谷区の住宅密集地に、11年に開設された認可保育所「太子堂なごみ保育園」。区は元々、敷地の区有地を防災目的の公園にする予定だった。待機児童を減らすため保育所に変更すると、近隣から建設反対の声が上がった。

 地元のまちづくり協議会メンバーの吉田昌史さん(63)は「急に保育園ができると言われたら、住民は不安になる。顔が見える関係づくりから始めた」。

 住民と園の協議は10年8月までの9カ月間に計7回。区の担当者や設計事務所のスタッフも参加して知恵を出し合い、ルールづくりを進めた。車での送迎は禁止▽送迎に自転車を使う場合は園の敷地内に止める▽園の窓を二重ガラスにする▽顔を知ってもらえるように地域の行事には園児も職員も参加する――。

 当時園長を務めていた栗田怜子さん(67)は「後から地域の中に入れていただく立場。住民の方の率直な意見を聞き、変えられる部分は変えた」と振り返る。

 保育士の女性は「教えてもらって気づくこともある」と話す。狭い園庭では遊び回れないため、近くの広場を遊び場にしていた。広場の前のアパートの家主から「この辺は夜勤で午前中は寝ている人も多い」と声をかけられた。それから午前中は別の公園で遊び、広場は夕方にしたという。

 開園時から長男(5)を通わせている母親(38)は「お迎えのときのママ同士の雑談は貴重な情報交換の場。ただ、園の外では立ち話をしないように気をつけている」と言う。(川口敦子)

     ◇

<子どもの生活環境に詳しい木下勇・千葉大大学院教授(都市計画)の話> 昔は子どもが外で遊んでいて悪さをすれば近所の大人が注意し、子どもは地域で育っていた。核家族化が進んで世代間を超えた関係が築きにくくなり、子どもの声を騒音と受け止める社会が生まれた。人口が集中した都市部の住宅街で子どもが遊ぶ空間が減ったことも、コミュニケーション不足に拍車をかけている。住民らが声をかけ合い、顔の見える関係を築けるまちづくりを社会全体で編み出すことが必要だ。

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