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アシュレイ・マディソン不倫サイト情報流出


アシュレイ・マディソン不倫サイト情報流出

  1. 3千万件規模の情報流出らしいが、この手のサイトは興味半分で登録する人が多いからとんだとばっちりだろう。どのサイトでもこのようなリスクはついて回るものだからリアル情報を登録するのは避けるべきだろう。



アシュレイ・マディソン不倫情報流出で晒された人々の様々な「昼の顔」

瀧口範子 [ジャーナリスト] 【第358回】 2015年8月27日

アシュレイ・マディソンの米国サイト(https://www.ashleymadison.com/)。日本語サイトもある
 カナダを拠点にする不倫サイト「アシュレイ・マディソン」がハッカーの攻撃を受け、3200万人ものユーザー情報が漏れた事件。発生から1ヵ月以上も経ったが、事態はますます悪い余波を及ぼしているようだ。

 アシュレイ・マディソンは、いわば既婚者の出会いサイトである。サイト上では「人生は短い。浮気をしよう」という文句と共に、結婚指輪をした女性が口元に人差し指をあてて、秘密のできごとへ誘う写真が掲載されている。

 ユーザーは登録後、ここでチャットなどを交わしながら相手を見定め、浮気の目的を達成するというしくみだ。サービスは、男性には有料、女性は無料だ。

盗んだ個人情報の公開で
騒ぎはさらに拡大

 サイトには、「匿名メンバー数は3964万5000人」(原稿執筆時点)と記されているのだが、今回の漏洩が3200万人ということは、ほとんどのユーザーが個人情報を盗まれたことになる。今年5月時点で、日本人ユーザーも180万人いたと伝えられているので、漏洩された中には、日本人の情報も含まれているだろう。

 さて、この攻撃を行った「インパクト・チーム」という名のハッカー集団は、サイトを閉鎖せよという要求にアシュレイ・マディソンが従わなかったという理由で、数日前から盗んだ個人情報を公開し始めた。情報は、氏名、メールアドレス、電話番号、クレジットカード番号の一部などである。これで騒ぎは一気に広がったのである。

 まず、名前が明らかにされて、自分の夫や妻を見つけた人々もいただろう。彼らが、結婚や家庭崩壊の危機に直面することは間違いない。登録ユーザーにはセレブも少なからず含まれていたため、タブロイド新聞や女性週刊誌などはしばらく話題に事欠くことがないはずだ。



アシュレイ・マディソン不倫情報流出で晒された人々の様々な「昼の顔」

瀧口範子 [ジャーナリスト] 【第358回】 2015年8月27日

軍や政府関係者もずらり

 それだけではない。不用意に職場のメールアドレスをそのまま使ったため、どこに務める人間かもわかってしまったケースも多々ある。本人が職場で気まずい思いをするのはもちろんのこと、成人が個人としてやっていることとは言え、企業としてもみっともないことになる。たとえば、スポーツ専門ケーブルテレビ局のESPNでは、100人以上の同社員が登録していたと伝えられている。

 もっとまずいのは、軍や政府関係機関である。分かっているだけで、陸軍関係者が6700人、海軍は1600人、またバージニア州政府関係者が104人、国土安全保障省のお役人も45人いたという。

 特に、米軍の軍事司法統一法典では姦通が犯罪と見なされることもあり、現在調査が進められているという。それ以外にも、大学教授、教員、ジャーナリスト、弁護士、イギリスの議員なども、明らかにされた登録ユーザーとして挙げられている。

 また、この情報漏洩が原因で少なくとも2件の自殺があったと伝えられ、トロントの警察が調査中らしい。その1人は、テキサス州の警察署長だ。痛ましいことだ。また、登録ユーザーに対する嫌がらせや脅迫事件も起こっているという。支払いをビットコインで行えと、強要している例もある。

 アシュレイ・マディソンに対しては、アメリカとカナダで集団訴訟がすでに数件起こされている。セキュリティーの甘さが指摘されていたにも関わらず、それを放置してユーザーに多大な被害を及ぼしたという理由だ。会社側は、現在公開された情報を撤回させるのに必死で、また50万カナダ・ドルの賞金を付けてハッカーの情報提供を呼びかけている。

 アシュレイ・マディソンという名前は、人気のある女性名を2つくっつけたもので、気品を伴った響きがあるという。それにつられて多くの男性が登録したわけだが、今回の教訓は大きい。まず、職場と個人のメールアドレスを使い分けること、そして、どんなサイトもハッカーの攻撃に対して100%防御できないと、ことに及ぶ前には肝に銘じておくべきだろう。